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「技・人・国」のガイドラインから外国人材の育成の意味を考える
2024年10月2日「技術・人文知識・国際業務」は、ホワイトカラーとして企業にお勤めの方に多い在留資格です。
入管業務に携わる者の間では、通称「技・人・国(ぎじんこく)」と略して呼ばれますが、昨今、一般企業の人事部門の方の間でもこの通称で呼び習わされるようになってきています。
この資格は、2014年の入管法改正で、企業などにおける専門的・技術的分野の外国人受け入れニーズに柔軟に対応するために、それまでの「人文知識・国際業務」と「技術」の区分を廃止し、これらを統合して「包括的な資格」としたもので、入管法では資格該当性を次のように規定しています。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」「包括的な資格」といわれるだけあって、活動(就労)範囲の広い資格となっているため、使い勝手のいい資格といえますが、反面、解釈の余地が生まれて取り扱いに迷うことも少なくなく、当局からは明確化のためのガイドライン<「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について>が発出されています。
「技・人・国」の資格で在留するには、原則、「学術上の素養を背景とする一定水準の業務に従事すること」が求められます。しかしながら、企業などでは、研修として、採用当初の一定期間、そうした活動に該当しない実務に従事させる場合も考えられ、その期間だけを取ってみると資格該当性に反する活動をさせてしまう恐れがあって、ガイドラインはそうした場合の取り扱いについての行政の見解を示したものです。
たとえば、ガイドラインに示されている実務研修の種類には、飲食店での接客や小売店の店頭における販売業務、工場のライン業務などがあります。当然、この活動だけでは「技・人・国」の資格は付与されません。
ところが、入管は、ガイドラインで、そうした活動が、日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって、在留期間中の活動を全体として捉えて、在留期間の大半を占めるようなものではないようなときは、その相当性を判断した上で当該活動を“技術・人文知識・国際業務”の在留資格内で認めると規定しました。そして、申請の際には、「日本人社員を含めた入社後のキャリアステップ及び各段階における具体的職務内容を示す資料の提出をお願いする」というのです。誤解を恐れずにいえば、外国人を含め計画的な人材育成のしくみ(=細かい要件はさておき)を有する企業にあっては、その活動を本来業務としない限り(=一部にそうした活動が含まれていたとしても)容認する可能性があるということです。
わたしは、常々、外国人雇用に乗り出すことをお考えの企業様には「外国人を雇用する意味は何か?」をお尋ねし、全社的な人材育成に関するビジョンとその戦略との整合性を図った上で、外国人を含めた人材育成計画を言語化することから始めることを強くお勧めしています。
日頃から、そうしたことにしっかりと取り組んでいる企業様であれば、これについて書面を用意して申請してみる価値があるということです。
弊所は、人材育成プログラムの構築支援も業務として行っています。あるクライアント様は、われわれと作り上げたプログラムをベースに申請の検討をし始めています。
ガイドラインを正しく理解し、きちんと対処している企業であれば、幅広い業務を外国人にお願いする可能性が広がるでしょうし、外国人にとっては、習得する業務範囲も広がって働く意欲を高めることもできるでしょう。
外国人雇用においても、全社を俯瞰した総合的な人事戦略が不可欠です。人手が足りないから採用するのも勿論ですが、それだけではよき外国人材を採用することはできません。
以上