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著作権について改めて考える
2024年10月25日わたしがお客さまに「専門は知的資産経営の促進です」とお話すると「あぁ、特許とか、著作権とかの・・・」と受け応されることが少なくありません。しかしながら、それらは知的財産と呼ばれるものであり、分類上は知的資産の一部に位置づくものです。
ちなみに、特許権や実用新案権、意匠権などは特許庁の管轄で、その業務は弁理士の領域であって、これを行政書士が取り扱うことはできません。
一方で、文化庁所管である著作権に関する業務については、弁理士のみならず行政書士の業務領域にもなっていて、行政書士にこれを専門とする方がおられるのはそのためです。 その著作権について・・・。
著作権とは、著作者に対し、その著作物の利用に関して排他的な権利を与える法律上の権利で、著作者の創作活動を保護し、文化の発展を促進することを目的としています。
著作権については、昨今インターネットの普及により、誰もが簡単に作品を公開したり、情報発信できるようになったりして、その理解の必要性が指摘されていますが、意外に思い違いをしている方は少なくないようです。
「著作権をとるにはどうしたらいいですか?」という質問は、その典型なものと云えるでしょう。
著作権とは、特許権や実用新案権と違い、権利を取得するために登録するというものではありません。
著作権は、著者が著作物を創作した時点で自然に発生するものですから、著作者は、特段の手続きを踏むことなく、その権利を主張することができるものなのです。
それなら、何故に「著作権登録制度」というしくみが存在するのでしょうか?
先に述べた通り、著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生するもので取得のために何ら手続を要しませんから、この制度は著作者の権利取得のためのものではありません。
同制度は、著作権関係の法律事実を公示するとか、著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなど、文化庁への所定の手続きにより登録されることによって法律上一定の効果を生じさせるためのしくみなのです。
とはいえ、文化庁に著作物が登録されたからといって、その著作物が公的に認められ、内容が評価されたというわけでもありませんから、この点も思い違いされませぬよう。文化庁は、登録されている著作物の内容には関知していないとしています。
著作権登録においては、著作物の内容そのものを審査するものではなく、その前提となる事実の有無を申請書などから形式的に審査するものでしかありません。同制度は、その名の通り単なる登録の制度にすぎないのです。
このようなことから先の質問が思い違いによるものだということがお分かりいただけると思います。
なお、プログラムの著作物を除いて、その他の著作物については、ただ単に創作しただけでは登録はできないことになっています。著作物を公表したり著作権を譲渡したりといった事実があった場合にのみ登録が可能とされていますので、この点についてもご留意ください。
SNSの利用が広がる中、誰もが気軽に作品を発信できるようになりました。このような時代において、著作権に関する知識は、誰にとっても重要なライフスキルといえるでしょう。
以上